トップ   差分 バックアップ リロード   一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2014-04-10 (木) 07:31:44

魔法の派 第10章

アクティブな臆病風

グィネヴィア「ええと、カードゲームはこっちで、ボードゲームは……ああ、ルールブックがありませんわ」
ニムエ「ザザ……グィネヴィア、何してるの?」
グィネヴィア「どうもこうもありませんわ! 考えてみればここんトコ私さらわれてばかり! そして軟禁生活の何と退屈な事か!!」
グィネヴィア「こうなったら不測の事態に備えて暇潰しの道具を揃えておくのです! そうですわ、いっそダイエット用の機材なども詰め込んじゃえ!!」
ニムエ「ザザザ、でも、バッグがぱんぱん」
グィネヴィア「ふぐぬ……! た、確かに、乙女の細腕で持ち運ぶには少々無理のある重さになってしまいましたわね」
グィネヴィア「おっとちょうど良い所にアーサーが。そこのボンクラ! 荷物持ちを命じますわ!!」
アーサー「いきなりの無茶ぶり!? そしてここから甘いのとか刺激的なのとか素敵な展開に繋がる素振りが全くありませんよ!!」
グィネヴィア「ふふ、荷物が増えたらこのように押し付けてしまえばよいのです」
グィネヴィア「んー! これでいつ誰にさらわれたって安心ですわー」
ニムエ「あの……根本的なところでズレているような……? ジジ、そもそもアーサーっていう戦力が常時あるなら襲撃犯を蹴散らせば良いんじゃ」
アーサー「ていうかこれ、1発ネタですよね? ずっと荷物持ちは嫌ですよ!?」
グィネヴィア「ああっ! 不安、不安ですわ!! 軟禁の長期化に備えて服も、食べ物も、いっそ組み立て式のベッドなんかも欲しい!!」
アーサー「欲望に応じて無尽蔵に僕の重荷が増えていっているんですが!?」
ニムエ「ザザザ、グィネヴィアはいっそ寝室に車輪をつけて馬車で引っ張るべきかも」

女王の生誕

エレイン(通信)「キャメロットと結びつこうとした姉のモルゴースは深手を負い、モードレッドの反乱も沈静化されてしまいましてよ」
モーガン「アーサー率いるキャメロットを叩き潰すほどの反抗勢力の基盤がない。『外敵』にしても、円卓の内乱にしても、私達魔女にしても」
モーガン「だから全てを諦めろって? マーリンの築いた戴冠作戦の恩恵を受けたアレを、そのまま放置しろって?」
エレイン(通信)「貴女こそ、本気でアヴァロンと直接接続するつもりでして?」
モーガン「それが、マーリンの残り香の全てをブリテンから消すのに必要なら」
エレイン(通信)「キャメロットどころか、ブリテン全体……いえ『外敵』を含む全人類を巻き込みそうな発言でしてよ」
モーガン「ついて来いとは言わないわ」
モーガン「むしろ変装を得意とする姉のセオリー通り、消えてもらった方がありがたい」
モーガン「アーサーに負けるとは思わないけど、アヴァロンの暴走はありえる。そういった事態に陥った場合、魔女の憎悪を引き継ぐ保険が欲しい」
エレイン(通信)「……では、お言葉に甘えて」
エレイン(通信)「この通信番号も破棄するわ。これで私は本当に消えたものとなりましてよ」
モーガン「……」
モーガン「……、さて、私も私で始めますか」
モーガン「海底ケーブルを手首に接続して……っと」
モーガン「コマンド入力開始。9981011ade。アヴァロンへの直結ポートを開放」
インターフェイス(通信)「コマンドを受領。安全装置、1から1500までを解除。ようこそユーザー様、あなたこそが妖精の支配者となるお方です」
インターフェイス(通信)「待機モードを解除し戦時駆動モードへ移行します。動力炉の休眠状態を1から12まで全解除。エネルギーの安定生産まで120秒」
モーガン「ぐっ……! 予想よりもノイズが激しい、か!?」
インターフェイス(通信)「アヴァロンの全兵装、自動点検開始。艦載妖精の休眠を1から5000まで解除」
インターフェイス(通信)「アヴァロン浮上まで2000秒。ユーザー様、あなたのお名前を登録してください」
モーガン「モーガン……」
モーガン「モーガン=ル=フェイ。……あらゆる妖精を統べる者にして、ブリテン最後の敵よ」

妖精達の理想郷

エル「むっ? なんか変なのが出てきたのだぞ!?」
アーサー「エルは何もない所を睨んで何をブツブツ言っているんでしょう?」
ガラハッド「しっ。あれが『断絶の時代』の魅力なのよ」
エル「アヴァロンが海底から浮上を始めたよーなのだぞ! 間違いなく起動している!!」
リーフェ「ブリテン内のネットワーク網にも、アヴァロンの識別信号が追加されている。ストレージまで……。認証は魔女のもののようね!」
フェイ「詳しいコードの解析を進めていますが、暗号化の特徴からモーガンの線が濃厚です!」
エル「でも、アヴァロンがネットワークに繋がったことで、今まで機密とされてきたデータをある程度閲覧できるようになったよーなのだぞ」
リーフェ「……え? でも、待って。これは、これって……!?」
剣サー「一体何が分かったのだ?」
魔ーサー「アヴァロンの戦力がそこまで強大だとか……?」
フェイ「そ、それどころじゃありません」
リーフェ「アヴァロンには魔法的生体最適化乖離設備が備わっている!!」
魔ーサー「???」
エル「人間もまた生き物だ。日々ゆっくりと進化を続けている訳だが、こいつはそれを一気に行うのだぞ。しかもそこに留まらない」
魔ーサー「……あの、僕が時代的なものに乗り遅れているんでしょうか?」
剣サー「心配するな。妖精語は私もあまり把握できていない」
エル「もしも、だ。人間を完全に最適化し、これ以上進化できない所まで行きついたとする。そこからさらに刺激を与え進化を促したらどーなる?」
魔ーサー「どうなるって……」
エル「人間の枠からはみ出る」
エル「データによれば、どーやら『断絶の時代』では人間が妖精へ変化するものだと信じられていたらしいがな!」
グィネヴィア「……妖精の国へ行った人間は、同じ妖精にされてしまうという伝説もありますわ」
グィネヴィア「伝説の真相がこれだったのか、伝説に憧れた『断絶の時代』の人々がそれに似た機能をつけたのか……」
剣サー「結局、魔女モーガンの目的はどこにあるというのだ?」
魔ーサー「アヴァロンの戦力でブリテンを徹底的に破壊するか、アヴァロンの力でブリテンの人々を妖精へ進化させるのが狙いなのか……」
フェイ「分かりません」
フェイ「そもそも、アヴァロンはブリテン近海上空に浮上していますが、そこから1度距離を取るように移動しています」
フェイ「即座に攻撃を仕掛けるつもりなら、もっとやり方はあると思うのですが」
技ーサー「なるほど。ゴルロイスとイグレーンの娘だったっけ? 亡国のお姫様はプライドも人一倍って訳だ」
リーフェ「?」
エル「どーいう事かね」
技ーサー「モーガンは戴冠作戦嫌いよ。ブリテンの成功から、マーリンの匂いを片っ端から消さないと正義が達成されないってマジで信じてる」
剣サー「それでいて、正当性を主張するモーガンはあくまでも王者の側に立つ」
魔ーサー「君臨する女王は攻め入るなんて挑戦者の動きはしない。玉座にてあらゆる敵を待ち、その全てを粉砕するつもり、という事ですか」

亡国の誇りは消えず

アーサー「ホントにこれ、夜明けまでに終わるんですかね?」
エル「できなきゃ中途半端なままでも出撃してもらうのだぞ」
グィネヴィア「アヴァロンはどうなっていますの?」
エル「ブリテン南方の近海、上空5000メートル付近に浮かんでいるのだぞ」
エル「モーガンのスタンスは『待ち』かもしれないがアヴァロンの位置取りは阻止しなければ」
エル「このまま進ませれば、宮殿と主要都市4つがアヴァロンの射程に収まってしまう」
グィネヴィア「……本気を出させる、なんて名目で吹き飛ばされては敵いませんわね」
アーサー「空飛ぶアヴァロンに突入する際は僕達が開発した兵員輸送用ホワイトワイバーンを使うんですよね?」
アーサー「でもアヴァロンって以前にマーリンのホワイトワイバーンを落としていませんでしたっけ?」
リーフェ「主砲のエネルギーを細かく分散して精密誘導する技術があるようね。ホワイトワイバーンはこれにやられたんだわ」
アーサー「拠点攻撃も対空砲火も自由自在。防衛網の隙を見つけないと一方的に撃ち落とされそうですね」
グィネヴィア「現行の結界技術などで弾く事はほぼ不可能ですわね」
エル「気球や飛行船といったダミーもばら撒く予定なんだが」
アーサー「当然、効果のほどは不明」
アーサー「まったく、最後の最後ですごいのが出てきたもんですね」
エレイン「そうね。わがままなお姫様が振り回すにしては少々度が過ぎているかもしれなくてよ」
アーサー「っ!?」
アーサー「エレイン!? 何でこういうデリケートな時に限って強敵が……!!」
エレイン「私を取り囲んでも意味はなくてよ」
エレイン「姉のモルゴースが手傷を負ったのは不意打ちだったから。真正面からやり合えば、少なくとも3つ4つの区画は火の海にできる」
エレイン「アヴァロン攻略の準備を徹夜で進めている側としては、好ましい状況ではないように思えるけれど?」
アーサー「……例の変装でここまで侵入してきたんですか?」
グィネヴィア「ここで対アヴァロンの足掛かりを壊されたらたまったもんじゃありませんわ!」
エレイン「それならもっとスマートに済ませていてよ」
エレイン「こちらは姉のモルゴースの前例があった上で、なおこうして正面に出ているの。それを誠意と受け取る事はできなくて?」
アーサー「だったら一体何を……?」
エレイン「受け取りなさい。そこの妖精ならディスクの中身を読み込めるはずでしてよ」
グィネヴィア「一体何なのです?」
エレイン「アヴァロンの対空防衛網で使用されている弾道計算スクリプトよ」
エレイン「シミュレーター上で展開すれば分かると思うけど、正面方向に標的が集中した場合、アヴァロン右後方側の弾幕が途切れるようでしてよ」
アーサー「まさか、本当に……?」
エル「ちょっと待った! ダミーのデータを渡されている可能性もゼロではないのだぞ!」
グィネヴィア「そうですわね。情報がダミーである場合、1発勝負で撃墜されるのはこちらですわ」
エレイン「やれやれ。ならご自分で1から計算して答え合わせでもしてみては? 率直に言って時間の無駄だと思うけど」
アーサー「でも、これが本物ならあなたはモーガンを裏切る事になるんじゃないですか?」
アーサー「そこまでやるあなたの目的は何なんですか? 今アヴァロン側に加われば、僕達に勝てるかもしれないのに」
エレイン「何故かしらね」
エレイン「姉のモルゴースの退陣がきっかけの1つ。魔女も無敵ではない事を思い知らされてよ」
エレイン「……そして妹のモーガンがアヴァロンに固執しているところも、まあ正直に言ってみていられなくてよ」
グィネヴィア「アヴァロンに、固執ですって……?」
エレイン「あれは死後の世界の1つ。善良で正直な魂の行き着く所と伝えられていてよ。まあ実際には兵器の塊だったようだけど」
エレイン「そして私達の小さな王国はマーリンの失策で失われ、父ゴルロイスと母イグレーンは非業の死を遂げた」
アーサー「まさか、モーガンの目的は家族や亡国の民のための居場所を作る事にあるって言うんですか……?」
エレイン「それが全てというほどメルヘンではないでしょう。というか、モーガン自身は自覚していないかもしれなくてよ」
エレイン「でも、あれは国が滅ぶ前はしょっちゅう城下町へ抜け出して民と一緒に遊んでいたし」
エレイン「何より、王たる父と后たる母を尊敬していたものね」
アーサー「……」
エレイン「国が滅び、父が殺され、母を奪われたその時に私達3人は魔女と化す事を決意してよ」
エレイン「……そのときにはもう消えていたと思っていた。今もあの子の中にお姫様が残っているのなら、奪うかどうかは悩むところでしてよ」
アーサー「……誰も彼も、どうしてそういう事を先に言ってくれないんですかね」
エレイン「ふふ」
エレイン「そこで憤るのは甘いけど、その甘えは母と似ていてよ。モーガンは戦いながら何を求めているのやら」
グィネヴィア「行きました、か」
アーサー「エル。このディスクの中身を調べる事はできますか?」
エル「エレインを信じる、という事で良いのだな?」
アーサー「まあ」
アーサー「危険な魔女の言葉なら疑うべきでしょうが、家族を思う王女の言葉であれば信じてみても良いんじゃないでしょうかね」

アヴァロン

フェイ「ブリテン南方の海を回って位置調整し、キャメロットへゆっくりと接近してくる空中のアヴァロンへ、逆にこちらから上陸作戦を実行します」
リーフェ「上陸には『魔法の派』が開発した兵員輸送用ホワイトワイバーンがそのまま使えそうね」
エル「モーガンはわざとこちらを誘っているとはいえアヴァロンの迎撃兵器群は起動するだろう。全力でかかれ」
グィネヴィア「妖精の国と言うぐらいです。おそらく兵力としても大量に格納されているでしょう。ブリテンがどこまで進歩したか、その見せ所ですわ」

魔ーサー「くそっ! 上陸までで完全に幸運を使い果たしてます!! ダミーの気球やら飛行船やらの破片を浴びるだけでも死にそうですよ!?」
魔ーサー「しかも着陸用の滑走路ないからって、入り口に横から引っ掛けるように激突してますし! 相対速度とかの話されても全く信用できませんよ!」
剣サー「だ、だが撃ち落されずにアヴァロンまでは到着できたか。もっとも、兵員輸送用ホワイトワイバーンは腹をやられたようだが」
技ーサー「こんな入り口でホッとしているようじゃ先が思いやられるって感じかね?」
フェイ(通信)「アヴァロン防衛のために配備されている妖精がこちらを捕捉しています!」
エル(通信)「構えるのだぞ! 軍勢で来る!!」

魔ーサー「ぐあああああああああああああああ!?」
技ーサー「こりゃ……ホントに、死ぬかも!! 妖精なんてまともにやり合う相手じゃない……!!」
剣サー「し、しかもブリテンの自然環境にいるよりはるかに機敏だ……。アヴァロン自体が、彼らを効率良く動かす場として機能しているのか!?」
技ーサー「じゃあ何か。アヴァロンはブリテンを離れようが星の外へでようがお構いなしで最大威力の魔法を使い放題って訳か!?」
フェイ(通信)「構えて! 妖精がまた来ます!!」
魔ーサー「数えるのが面倒なぐらい向かってきますよ!!」
リーフェ(通信)「アヴァロンには、推定で5000近い妖精が艦載されているとデータにはあるわ!」
技ーサー「……だがモーガンが命令を飛ばして操るために何かを使っているはずよ」
魔ーサー「それさえ封じる事ができれば……?」
リーフェ(通信)「検索を終了。アーサー、南東にあるゲートを破壊して」
フェイ(通信)「対レーザーロック対策のプリズムサンドが格納されているブロックです」
フェイ(通信)「ゲートを破壊すれば透明な砂が舞い上げられ、妖精を操るレーザー通信を妨害できます!!」
剣サー「……向こうもそれに気づいたか? 妖精達が立ち塞がっているぞ」
技ーサー「あるいは、『断絶の時代』のテクノロジー使って、こっちの通信を丸ごと傍受しているとか?」
魔ーサー「……5000もの妖精とまともに戦うよりはマシでしょう」
エル(通信)「中央突破するしかないな。ゲートへ急ぐのだぞ!」

フェイ「プリズムサンドを格納するゲートの破壊によって、妖精を操るレーザー通信の妨害に成功しました」
リーフェ「いつまで保つか分かったものではないけど、この間に一気にモーガンを叩いた方が良さそうね」
エル「とはいえ、それはモーガンも願っていた展開だろう」
エル「アヴァロンと接続したモーガンはただの魔女の領域を超えているはず。『断絶の時代』を支配する究極の女王と見た方が良いのだぞ」

正と負を司る女王

フェイ「アヴァロン内部でモーガンの反応を捉えました!!」
グィネヴィア「これまでの行動から察するに、こちらを誘っている可能性も低くはないでしょう」
リーフェ「とはいえ、こちらに立てられる作戦も特にないわ」
エル「真っ向から向かって正面から叩き伏せろ。以上なのだぞ!」

魔ーサー「モーガン。今のあなたは魔女の3姉妹なんですか? それとも亡国の……」
モーガン「何だって良い。アンタ達の敵でいられるなら。それよりお揃いで何より」
モーガン「マーリンと戴冠作戦の痕跡を残さず拭い去りたい私からすれば、これほどのチャンスはないってーの」
剣サー「……そなたの目的はどこにある?」
剣サー「アヴァロンの暴力で全てを吹き飛ばすか、アヴァロンの設備で全てを進化させるか」
モーガン「……さあね」
モーガン「もう自分でも分からないわ。この国を憎んでいる私がいて、この国を愛している私がいる。アヴァロンを浮上させて何がしたいのか」
モーガン「でも、どちらの方法にしても目的は達成できる」
モーガン「ストレートに滅ぼしてから国を作り直しても、圧倒的な進化で別の文明を与えても! マーリンの残り香などインパクトで叩き潰せる!!」
魔ーサー「……間違っています」
魔ーサー「マーリンへの憎悪が先行し過ぎているんです。その方法の結果、誰を守りたかったのかが抜け落ちています!!」
モーガン「泣き言ならあの世で頼むわ」
モーガン「我が名はモーガン=ル=フェイ。誇り高き王ゴルロイスと、突出の魔女イグレーンの正当なる娘なり」
モーガン「第1期戴冠作戦にて踏みにじられた王の血筋。その名誉をかけて、ブリテンの王へ決闘を申し込む!!」

魔ーサー「攻撃は、効いているんですか……? このまま押せば!!」
剣サー「待て。何か様子がおかしい!!」
モーガン「この程度で終わりと思うようでは残念よ、アーサー」
モーガン「今のは実地でデータを取って、弱点を検索するための強行偵察に過ぎなかったんだからさあ!」
エル(通信)「モーガンのエネルギーが変質しているのだぞ! 魔剣クラレントだ。波形が近づいていっている!!」
モーガン「モードレッドはあらかじめ体内に格納してある因子から弱点を検索していた」
モーガン「ただその方法論にこだわる必要はない。実地で戦って相手の因子の情報を入手できれば、即座に弱点の検索は始められる」
リーフェ(通信)「もも、モーガンの反応が巨大に……? おかしい、個人で格納できるレベルを超えているわ!!」
エル(通信)「まるで羽化だ……。モーガンの本領が来るのだぞ!!」

モーガン=ル=フェイ「さあ、アーサー。『断絶の時代』を統べる女王のダンスについてこれるかしら!?」

魔ーサー「ごっ、ば……!?」
剣サー「こやつ……どこまで増幅するというのだ……!?」
技ーサー「まずい、負け戦の匂いがしてきたぞ……!」
モーガン=ル=フェイ「アーサー。マーリンに支えられたアンタ達は、確かにこの現代では最強の部類だったわ」
モーガン=ル=フェイ「でもそれはこの時代での話。『断絶の時代』を支配する私の敵じゃない」
魔ーサー「ぐ……」
モーガン=ル=フェイ「何度でも立ち上がり、何度でも負けなさい」
モーガン=ル=フェイ「その心を完全に折ってこそ、マーリンが成し遂げたかったモノを完全に粉砕できる」
モーガン=ル=フェイ「とはいえ、王が気力だけで立ち上がったとしても、戦力しての騎士の壊滅は覆せるはずもないけどね」
魔ーサー「……そうでも、ありませんよ」
モーガン=ル=フェイ「何ですって?」
魔ーサー「ブリテンの力は……王国の守り手は、あなたが思っているよりずっと大きいって事ですよ」
エル(通信)「兵員輸送用のホワイトワイバーンの飛翔確認!! アヴァロンの上空に増援の騎士をばら撒いたのだぞ!」
モーガン=ル=フェイ「これは……?」
リーフェ(通信)「気球や飛行船による騎士達の上陸を確認! まだまだ増援は遅れるわよ!!」
魔ーサー「そういう訳です。こっちとしても楽ができないのは分かってもらえました?」
剣サー「ブリテンを守りたがっている者は、何も王だけではないという事だ」
魔ーサー「そんなわけで、付き合ってもらいましょうか。あなたが宣言した通り、何度でも!! いくら這いつくばろうとも!!」

モーガン=ル=フェイ「ぐ、ふっ……!?」
モーガン=ル=フェイ「な、ぜ。マーリンの進めた、戴冠作戦程度……『断絶の時代』なら粉砕は造作もないはずなのに……!!」
魔ーサー「僕達は、マーリンの影なんてとっくに振り切っています」
魔ーサー「この時点でのブリテンを想定して計画を組んでいたのなら、あなたが負けるのも当然じゃないですか」
魔ーサー「あなたが思っているより、ブリテンは前へ進んでいたんです『断絶の時代』を凌駕するほどにね」
剣サー「これが、私達の王国」
技ーサー「マーリンなんて程度の鎖を引き千切るほどの力を持った、私達の王国よ」
モーガン=ル=フェイ「……なるほど。私の復讐は、とうの昔に、どっかの誰かさんに取られていた訳だ」
モーガン=ル=フェイ「でも私がアンタ達に与えた被害と怨嗟は残っている。決着をつけて、アーサー」
魔ーサー「その決着なら、もうついているはずです」
魔ーサー「僕達とあなたが、こうしてきちんと言葉を交わせるようになった時点で」

フェイ「モーガンの撃破に成功しました! アヴァロンで展開されている艦載妖精や兵器の活動停止も確認!!」
リーフェ「これでひとまずはアヴァロンを巡る争いに終止符を打てそうね」
エル「しかしあのアヴァロンを待機状態のまま空に浮かばせ続けるのも問題がありそうなのだぞ」
グィネヴィア「……アヴァロンを利用する輩が出てくるかもしれないし、接続状態のモーガンを入手しようとする輩も出てくるかもしれませんわ」

妖精の国との離別

アーサー「『剣術の城』や『技巧の場』は脱出用の気球や飛行船の確保に向かってくれましたか」
モーガン=ル=フェイ「わざわざ体の良い人払いをしたんだ。何か話があるんでしょ」
アーサー「アヴァロンを放っておけばブリテンの危険は残ります。でも、僕達の魔法の技術だけで純粋にこれを破壊できるとも思えません」
モーガン=ル=フェイ「なるほど。動力炉を停止して海底に沈めてしまうのが手っ取り早い。でもそうなると問題が1つ出てくる訳か」
アーサー「ま、こういうのを引き受けるのが王様の役目なんでしょう。だから僕がやります。方法を教えて下さい、モーガンさん」

フェイ「嘘……?アーサー様とモーガンが脱出しません! アヴァロンを海へ沈めるつもりのようです!!」
リーフェ「アヴァロンの動力炉を停止して海に沈めるという事は、あなたたちも墜落に巻き込まれる事を意味しているのよ!!」
エル「しかし現にアヴァロンの高度はみるみる内に下がっているのだぞ!?」
技ーサー(通信)「私達にも状況が分かんない! あいつら気球や飛行船の方には戻っていないぞ!?」
剣サー「もう間に合わない! アヴァロンの落下速度が増せば私達も脱出できなくなるぞ!」

アーサー「床からケーブルとかいうのを取り出しました! 次は何をすれば!?」
モーガン=ル=フェイ「気球や飛行船が離れていくわね。そろそろ脱出できなくなるわよ」
アーサー「でもこのアヴァロンを放置できません。これはブリテンをまとめるためには明らかに必要のない力です。誰かが悪用しかねません」
モーガン=ル=フェイ「だからその役目は私がやるからさっさと脱出しろと言っているのよ。そもそも協力を求めたのはアンタでしょ」
アーサー「方法を教えてほしいと言っただけで犠牲になれなんて言っていません。その命令スクリプトを僕に教えてくれれば脱出してもらっても……」
モーガン=ル=フェイ「その命令スクリプトは女王である私にしか送れないのよ」
アーサー「だったら、あなたが無事に作業を終えて脱出するまできちんと見届けさせてもらいます」
モーガン=ル=フェイ「……」
エル(通信)「んっ? ちょっと待て、アーサーからエクスカリバーの反応が遠ざかっているのだぞ!」
リーフェ「モーガンが奪ってアヴァロンから投げ捨てたの!?」
モーガン=ル=フェイ「さあ、これであなたを特別にしていた力は失われたわ」
モーガン=ル=フェイ「今度こそ気球でも飛行船でも使って逃げなさい! 墜落に巻き込まれれば助からないっつーの!!」
アーサー「聞こえていなかったんですか?」
アーサー「僕は、最後まできちんと見届けるって言ったと思うんですが」
モーガン=ル=フェイ「……マジ?」
フェイ(通信)「落下速度が一定ラインを超えました! 係留してある気球や飛行船がはがされていきます!」
エル(通信)「動力炉の完全停止を確認したのだぞ! 海面まで39、38、37……!」
モーガン=ル=フェイ「……今さらもう間に合わない事前提で言うけど本当に良かったのね?」
アーサー「アヴァロンは死者の国らしいですけど、僕達には必要ないですよ」
アーサー「僕達には、僕達の帰るべき王国があるんですから」

アーサー「がはっ……」
アーサー「うえっ、くそ。こんな所まで流れ着いていたんですか。モーガンさん、モーガンさんってば。あなたは大丈夫ですか?」
モーガン=ル=フェイ「……まさかあの状況から、2人揃って生き残るとはね」
モーガン=ル=フェイ「何となく、マーリンのヤツが何の制御に失敗して敗北したのかを理解できた気がするわ」
アーサー「?」
モーガン=ル=フェイ「誰にもまとめられないブリテンを統一し、誰にも倒せない『外敵』を押し返し、誰にも覆せないマーリンの戴冠作戦を打ち破った」
モーガン=ル=フェイ「……そして何より、誰にも抜けない剣を抜く事に成功した」
モーガン=ル=フェイ「ここまで来れば簡単ね。アーサー、アンタは多分、外的な要因を無視して、自分の運命を切り開く力を持っていたのよ」
アーサー「……そんな大それたものがあるようには思えないんですけど」
モーガン=ル=フェイ「そうかしらね。分かりやすい指標が1つあると思うけど。アーサー、私の指差した方を見て見なさい。面白い物が流れ着いているわよ」
アーサー「エクス…カリバー?」
モーガン=ル=フェイ「どちらがどちらを招き寄せたかは不明だけど、まだまだ楽はできないようね。アーサー?」

第一部 戴冠計画編 完

コメント

コメントはありません。 ストーリー/魔法の派/第10章/コメント


スポンサーリンク