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Last-modified: 2013-05-17 (金) 01:11:18

魔法の派 第7章

夢に見た空の旅

グィネヴィア「むあー」
エル「な、何だ? グィネヴィアのヤツが暇潰しをご所望のよーなのだぞ。警戒、警戒。じりじり」
グィネヴィア「どうもこうもないのですわ。都市国家郡や宮殿を行き来するたびに退屈な馬車馬車馬車!」
グィネヴィア「パカパカゴロゴロ退屈ったらありゃしませんわ! もっと、こう、時間を短縮して効果的に使えないものかしら!?」
ガラハッド「馬車って確かに退屈よね。もっとこう、『断絶の時代』っぽく地面から浮いちゃってる乗り物とか欲しいわ!」
アーサー「そもそもあの程度の距離ならみんな歩いているんですがってツッコミは誰からすれば!?」
グィネヴィア「アーサー。何か開発しやがれなのですわー」
ガラハッド「そうそう『断絶の時代』絡みのー」
アーサー「え、エル助けてくださ……ハッ!? 口笛つきで目をそらされました!!」
グィネヴィア「新しい乗り物ですわ」
グィネヴィア「マーリンのヤツがホワイトワイバーンとかスカーレットワイバーンを使っていたでしょう。あれは何とか調達できませんの?」
グィネヴィア「あれがあれば全体的にビューンですわ」
エル「さ、流石にあれはマーリンの独自技術がないとどーにもならないのだぞ」
エル「エンジンの振動が主翼に高い負荷をかけるから何とかしないとだし、着陸時に地面との距離を正確に測る技術もいるし」
エル「私たちの技術だけで無理に建造しても、飛ばすのが精一杯。途中で空中分解する危険があるし、着陸は胴体着陸か海に落とすぐらいだな」
グィネヴィア「……なんて面倒臭いんですの」
エル「単に空を飛ぶだけなら、気球や飛行船もあるのだぞ」
グィネヴィア「せっかく飛んでもふわふわしているんじゃ意味はありませんわ。時間を有意義に使いましょうと言っているのです」
アーサー「あのー、根本的に馬車の中で有意義に時間を使う方法を探せば良いのでは? 本を読んだり編み物したり」
グィネヴィア「アーサー、乙女はゲロ吐く瞬間もキラキラするのだというのを教えて欲しいんですの?」
アーサー「もーやだよー女性に夢を見させてくださいよーもー!!」
グィネヴィア「じゃーあれですわ! ホワイトワイバーン迎撃時、アーサーたちが魔法要塞ゴアから引き返す時に何か使っていたでしょう」
グィネヴィア「確か、えーと、何でしたっけ? 磁石の力で車体を浮かばせてレールの上を走るとか言う、えーと……」
エル「リニアモーターカーなんて『断絶の時代』の施設を利用して初めて使えるものなのだぞ。私たちだけじゃどーにもならん」
エル「しかもあれ自体放置しっ放しの施設を無理矢理使ってたから、いつぶっ壊れるか分かったもんじゃないし」
グィネヴィア「むあー!! にっちもさっちもいきませんわー!」
アーサー「それだけの元気があるなら素直に走り回れば痛ァァァァ!! 何故ブリテンの女性の力はこうも平和利用が難しいんですか!?」

椅子取りゲーム

ランスロット「ホワイトワイバーンを撃墜したアヴァロンの制御に、我々の街のアンテナ郡が利用されていることが判明した」
ランスロット「あれをどうにかすることも含めて、全ての都市国家郡、そこを治めるアーサーたちの協議は必須だろう」
ガウェイン「どうにかする、ね」
ガウェイン「しかし誰かがアヴァロンを管理しなければならないのは自明の理だ。そしてアヴァロンは1つきり」
ガウェイン「あれを手中に収めたものがブリテンを制覇する。それが分かって明け渡す馬鹿がいるかよ!!」
ガラハッド「そもそも、解析なんてアンタらの腕でできんの? 正直、汚い手でいじって壊すトコしか想像できないわ」
ガラハッド「宝の持ち腐れになるのは目に見えてんだからさ。魔法と『断絶の時代』に詳しいこっちに寄越しなさいって」
グィネヴィア「……また毎度の紛糾ですの? 食器が飛び交う夫婦喧嘩のほうがまだマシですわ」
アーサー「『断絶の時代』が関わってるからガラハッドさんがとんでもない事になってるし……。そもそもアヴァロンって何なんですか?」
エル「機密レベルが高すぎて私でも検索できないのだぞ」
エル「断片的な情報だと、人と妖精の手で理想郷をつくろーとしたとか。最盛期はいくつかのモデルがあったよーなのだよ」
アーサー「ブリテンにやさしくない理想郷ですねまったく!!」
グィネヴィア「何を目指してどう失敗したかなんてどうでも良いですわ」
グィネヴィア「問題なのは、その理想郷の1つが浮上し、具体的な戦力としてブリテンの歴史に干渉し始めた事」
グィネヴィア「あれは一体どういう戦力なのです? 制御に我々の街のアンテナが使われているとの話でしたが」
エル「分からないと言っているのに……えーい、フェイ、リーフェ!」
フェイ「何ですか同系」
リーフェ「何よ忙しいのに」
エル「アヴァロンや電波塔の情報を検索して欲しいのだぞ。私の情報もそっちに渡すから」
リーフェ「うーん。アヴァロンの制御には、都市国家郡にあるアンテナが必要なのよね」
フェイ「ただし扱うデータは膨大です。アンテナ1つ2つでまかなえるものではありません」
リーフェ「都市国家郡全てのアンテナを束ねて1つのシステムにしないとアヴァロンは操れない」
グィネヴィア「つまり……」
アーサー「アヴァロンを拾うにしても潰すにしても、全てのアーサーを倒して都市国家郡を掌握する必要がある……?」
エル「話し合いで解決すれば1番だけど、まあ難しいだろーな」
グィネヴィア「このままでは、アヴァロンの奪い合いでキャメロットは戦争になりますわよ」
グィネヴィア「切磋琢磨のための適度な緊張感じゃない。騎士も民衆も全てを巻き込んだ戦争に!!」

平和のための決断

アーサー「すみません。頼んでいたものは見つかりましたか?」
エル「一応はな。でも図面そのものは解析できても、今の材料で組み上げられるかどーかは分からないのだぞ」
グィネヴィア「何の話をしていますの?」
ガラハッド「アヴァロンよね! もちろんアヴァロンを手に入れるための作戦よねふーふー!!」
アーサー「ううっ、『断絶の時代』絡みだからガラハッドさんのテンションが面倒臭い事に……!?」
グィネヴィア「でも、アヴァロンを入手するには全ての都市国家郡を制圧しないといけないのでしょう?」
グィネヴィア「そこに住んでいる無関係な民衆を巻き込むようなことしたら串刺しにしますわよ」
ガラハッド「でもアヴァロン諦めるようならグーでいくよ?」
エル「おおっ! アーサーが全ブリテン男子の憧れイタバサミ状態なのだぞ!」
アーサー「恋愛沙汰が一切関わっていないのでただの地獄だというのが何故分からないのですか!」
アーサー「それとアヴァロンの制御権は手に入れます。他の都市国家郡は一切攻撃せずに!」
グィネヴィア「まぁ、アーサー!」
ガラハッド「マジかアーサー!?」
アーサー「いやーそれほどでもないですが恋愛関係は基本的に来るもの拒まずです」
グィネヴィア「……こいつの考えた作戦なんて上手くいくんですの?」
ガラハッド「全部取りとか都合の良い事言い出した時が1番ヤバいのよね」
アーサー「くそっ!! どうせこんなリアクションだと思ってましたよ!!」
エル「でもあんなこと本当にできるのかね?」
エル「街の電波塔を解析し、それを現代の素材だけで復元する事でアンテナの数をそろえてしまおーだなんて」
ガラハッド「何それ超面白そうなんですけど!!」
アーサー「さっきからこの人のテンションの落差が激しすぎませんかね!?」
ガラハッド「私の情緒はどうでも良いの。とにかく詳しい事をお姉さんに話してご覧?」
アーサー「アヴァロンを操るには一定数のアンテナが必要で、それを揃えるには全ての都市国家郡を制圧する必要があります」
アーサー「でも、自分達でアンテナを作ることができたら? アンテナの数を増やしてしまえば、他の都市国家郡に攻め入る必要はなくなるんじゃ?」
ガラハッド「ぬおおおお!! ナイス、ナイスよアーサー! 全体的に『断絶の時代』の匂いが漂ってきたー!!」
グィネヴィア「でも『断絶の時代』のテクノロジーでしょう? 私達の技術でできるものですの?」
ガラハッド「何でも良いよ『断絶の時代』に触れられるなら! アヴァロンに電波塔かー。やっと本編って感じよね!!」
エル「あれー? でもアーサー、アヴァロンを手に入れるのはあの大規模兵器を順当に沈めるためのムグッ!?」
ガラハッド「あん?」
ガラハッド「アーサー、エルの後ろから抱きついて口を塞いでどうしたの?」
アーサー「何でもないですよははは! さあアヴァロン手に入れるために一致団結しましょう!」

魔女と紅茶と砂糖菓子

モルゴース「キャメロットの動きが慌ただしいようね」
エレイン「やはり、アヴァロンを出したのは早すぎたのではなくて?」
モーガン「うっさい。マーリンに一泡吹かせられたんだから成功よ」
モーガン「それにアヴァロンが原因で円卓はズタズタなんでしょ? だったら問題ないじゃない」
モルゴース「しかし分裂したアーサーのグループの中には、アヴァロンを潰すためにアンテナ郡の破壊を目論むものもあるらしいわ」
モルゴース「我々もアヴァロンにアクセスする際はあそこのマイクロウェーブ電波塔郡を経由しているわ」
モルゴース「このままでは私達もアヴァロンを手放す羽目になるかもしれないわよ」
モーガン「そうかしら」
モルゴース「?」
モーガン「私は姉達と違って回りくどいのは嫌いだけど、そういう面倒臭いサガみたいなのが人間にはあることぐらい知ってる」
モーガン「……あれだけ魅力的な切り札を見せつけられてあっさり諦めるほど、人間って素直な生き物かしら?」
エレイン「……そうでしてよ」
エレイン「『変装』して拾ってきた情報に因れば、面白い事を考えている王もいるようね」
モーガン「彼らの欲望は、とことんまで相手に喰らいついて足を引っ張り合う」
モーガン「その間に私達はゆっくりとアヴァロンの整備を行えば良い」
モーガン「アヴァロンの全力があの程度だなんて思っている馬鹿どもを、あっさり吹き飛ばせるようにね」

前兆

アーサー「電波塔の解析はどうなっています?」
ガラハッド「ふはは! 楽しいぎゃはは『断絶の時代』超楽しいわはは解析作業がははは楽しくてあはあは仕方ないわーはははー!」
アーサー「グィネヴィアさん。人語の翻訳はできます?」
グィネヴィア「……解析作業自体は完了していますわ。ただ、現代の素材で組み立てるのが難しい」
グィネヴィア「アンテナの出力はどう頑張っても半分が限度。ですが、その分だけ数を揃えればアヴァロンへの干渉は何とかできそうですわね」
アーサー「よし、これで何とか……」
エル「アーサー! 一大事なのだぞ!」
エル「『剣術の城』が自陣営内のアンテナを片っ端から壊し始めた。おそらくアヴァロンの制御権を全員に放棄させるための作戦だ!」
アーサー「なるほど、『剣術の城』も僕と同じ、放棄派の考え方をしていましたか」
アーサー「でもそれだけじゃ甘いです。現に僕達はアンテナの増設を実行しています。僕にできるという事は、他の人にもできるという事」
アーサー「やはり人の手で1度アヴァロンを制圧したのち、アヴァロンの力で沈めなおす必要があります」
グィネヴィア「『剣術の城』が自陣営のアンテナを破壊しても、こちらでアンテナを増やし続ければ問題ありませんわ」
エル「でも、『剣術の城』が私達の動きを黙って見ているとは思えないのだぞ」
エル「『技巧の場』はアヴァロンを手中に収めるつもりのよーだ。すると失った分のアンテナを補充するため、私達の技術を奪おーとするだろう」
グィネヴィア「『剣術の城』も『技巧の場』も、私達の都市国家郡へ攻め込む可能性があるってことですの!?」
アーサー「それでもやる事は変わりません。全ての元凶はアヴァロンにある。一刻も早くあれを沈め直す事が、混乱を治める最短の道です」
グィネヴィア「ここに住んでいる民衆はどうしますの?」
アーサー「可能な限り兵舎など大きな施設に避難を。それでも完璧じゃありません。戦闘の流れを誘導し、民衆を巻き込まない場所で刃を交えます」
エル「3勢力のうちの2つが同時に攻めてくるのだぞ。私達だけで押し返せるのかね?」
アーサー「時間を稼ぐ程度なら」
アーサー「その間にアヴァロンを制圧して沈め直す事ができれば、戦闘の元凶を取り除けます」
アーサー「僕達の動きが勘付かれているとしたら、今さら言葉で話し合うのは無理でしょう。ここは押し切るしかありません」

王と王の鍔迫り合い

エル「『剣術の城』と『技巧の場』が動き出したのだぞ!」
エル「双方とも、大規模な激突を避け、抜け道を使って少数精鋭を進入させるつもりらしい」
グィネヴィア「最低限、民衆への被害は避けようとする程度の理性は残っているみたいですわね」
グィネヴィア「ですが『剣術の城』は私達のアンテナ増設を阻むため、『技巧の場』はノウハウを奪うため、共に全力で向かってくるでしょう」
エル「相手の狙いは共にアンテナ解析施設」
エル「増設したアンテナは破壊されても補充できるが解析施設をやられれば後はない。何としてもここだけは死守するんだ!」

アーサー「『剣術の城』と『技巧の場』。さて、どっちが先に来る事やら」
ガラハッド「どうせなら共倒れしてくれれば良いのに」
グィネヴィア(通信)「元々は同じ仲間でしょう」
アーサー「(……それを思い出させるためにも、やはりアヴァロンを完全に沈めなおす必要がありそうですが)」
ガラハッド「ふはは私のアヴァロン保存計画を邪魔する者は残らず蹴散らしてくれるわー!」
アーサー「くそ、ホントの事が言えません……!」
エル(通信)「来たのだぞ。アーサーだ!」
アーサー「え? 僕がどうし……」
エル(通信)「『技巧の場』のアーサーだっ! 可能な限り抜け穴は塞いだつもりだったが、やはり対応しきれなかった!!」
アーサー「よおっすー! アンテナの増産とか面白い事やってんじゃない!」
ガラハッド「おお、分かる人には分かるか!」
アーサー「私も混ぜてもらえるぅー? でなきゃ力づくですけど」
ガラハッド「夢の『断絶の時代』の遺物を横取りとか、ちょろっとお痛が過ぎるんじゃない? 万死に値する級で」
アーサー「わああああ! 僕の知らない所で話が進んでいってますかー!?」

アーサー「ちくしょっ、やっぱアウェーじゃ数で押されるか!」

アーサー「ぜえ、ぜえ、て、撤退、したようですね」
エル(通信)「別の反応が近くにある。アーサー、どさくさに紛れて『剣術の城』が解析施設に近づいているのだぞ!」
アーサー「チッ、予想より『技巧の場』がやられるのが早い……!」
アーサー「残念ですが、アンテナ放棄だけでアヴァロンの問題は解決できません」
アーサー「失策を抱え続ける王に用はないんですよ。さっさとお引き取り願いましょうか!」

アーサー「げっ、げほごほ!! な、何とか、退けさせましたか……?」
ガラハッド「うげっ!? ちょっと、解析施設から火が出ているじゃない! 一体誰が!?」
エル(通信)「『剣術の城』か『技巧の場』か。自分達でアヴァロンを入手できないぐらいなら、解析施設を破壊しようとしたようだな」

エル「『剣術の城』、『技巧の場』を退けるのには成功したのだぞ」
エル「アンテナ解析施設は消火活動を続けているが、ほぼ使い物にならない。データも失われただろう」
グィネヴィア「解析施設は私達で用意できる範囲で最高級の魔法の設備を結集させたもの。復旧できない以上アヴァロンの対処は変更せざるを得ませんわね」

審判役の見た王の国

モードレッド「『技巧の場』のアーサーはアヴァロンの所有権を明確にするために軍事作戦を立案」
アーサー「『剣術の城』のアーサーは都市国家郡同士の戦闘を避けるため、アヴァロン放棄を目的とした自都市のアンテナ破壊を決行」
モードレッド「『魔法の派』のアーサーは『剣術の城』のとばっちりを受けずにアヴァロンを入手するため、独自でアンテナを増設しようとした」
モードレッド「……」
モードレッド「……一見すれば『魔法の派』が解析施設を失った事で、アヴァロンにまつわる混乱を治めたように思えるが」
モードレッド「分かっているのか?」
モードレッド「手が届くはずだった兵器を遠ざけた時点で、すでに各々の勢力はそれを損失と受け取る」
モードレッド「まして事態の収拾のために他の王の都市国家へと侵入し、そこで刃を交えた。これが遺恨にならぬはずがない」
モードレッド「……荒れるぞ、ブリテンは」
ニムエ「……」
モードレッド「む? 妖精か」
ニムエ「心配なので安心です。皆さんがピリピリしていて困るのでリラックスです」
モードレッド「懐いているのは私ではなく王ではなかったのか?」
モードレッド「あるいは、私の中にある多数のアーサーの因子に反応を示しているだけかもしれんが」
ニムエ「王国が不安定なのでどっしりです。ぐらつかなければみんな笑顔になって泣くでしょう」
モードレッド「1度翻訳用の魔法を使った痕跡があるが、その後削除しているようだな」
モードレッド「マーリンの悪あがきか?」
モードレッド「……しかし、この言葉の問題もいい加減に何とかしなくてはならないな」
モードレッド「どれ。マーリンほどの魔法の腕はないが、対処してみるとするか」

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