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Last-modified: 2014-04-10 (木) 03:12:39

魔法の派 第9章

思惑に挟まれた追撃

エル「『外敵』の大陸へ逃走したランスロットの大規模な追撃作戦が決行されるのだぞ」
エル「ランスロットはグィネヴィアの持つ『円卓整備技術情報』を保有しており、これが『外敵』に渡るのは何としても避けたい」
エル「ただし、『外敵』の大陸へ侵攻するのはブリテンの歴史上でもこれが初となる。予想外のトラブルも考慮し、余裕を持った編成にするべきだ」
ガラハッド「今回の作戦は『剣術の城』、『技巧の場』との共同戦線を張ることになっているんだけど……」
ガラハッド「『技巧の場』は『外敵』を侵略するための脅威論を加速させたいだろうし、『剣術の城』はランスロットと繋がっているかもしれない」
エル「最悪、『外敵』やランスロットの他に、連中と戦う羽目になるかもしれないのだぞ」
エル「とはいえ、やる事自体はシンプルだ。『技巧の場』が開発したエアクッション船で海を渡り、『外敵』の大陸へ上陸してランスロットを追う」
エル「裏でどんな策謀があるかはさておいて、最優先は円卓の情報が『外敵』へ渡るのを阻止する事。これを念頭に置くのだぞ」

魔ーサー「これが……『外敵』の大陸、ですか?」
技ーサー「想像していたよりパッとしないね。その辺に生えてる木も歯車使って揺らしているようなのをイメージしていたんだけど」
ガウェイン「あるいは、これを期待外れと評価できるぐらい私達の方が進歩してしまったかよ」
ガラハッド「『外敵』さんは様子見かな? 今戦っても勝てないって分かって、下手に私達を刺激しないようにしているのかも」
エル(通信)「アーサー、魔法の方はどうなんだ? 『外敵』の大陸は魔法資源に乏しいと聞く。この通信は届いているようだけど……」
魔ーサー「複雑な攻撃系になると、やはり何か引っかかる感じがします。浜辺から離れればさらに影響は強くなるかもしれません」
技ーサー「この辺はまだブリテンから砂や流木が流れてきているのかもしれないね。かなり減衰されるけど、一応魔法は支えられている」
技ーサー「と同時に、ご自慢のランスロットちゃんだって弱体化しているわけだ。『剣術の城』、叩くなら今しかないと思うけど?」
剣サー「……分かっている」
フェイ(通信)「アーサー様! ランスロット様の反応を捉えました!」
エル(通信)「(……アーサー、今の通信に紛れてフェイと『剣術の城』の間で別の通信が行われているのだぞ。現在、暗号を解析中)」
剣サー「では行ってくる。ランスロットの処遇は私の責任だ。そなた達にはそこで見ていてもらおうか」
技ーサー「はいはーい。ちゃんとバッサリやるトコ試合観戦させてもらいますよっと」
剣サー「……」
エル(通信)「依然、フェイと『剣術の城』の間で活発な通信を確認。乱数表の割り出し、30%、40%、50%……」
技ーサー「よーし『剣術の城』は行ったな。ガウェイン! 予定通り長射程用の弓持ってきて!」
魔ーサー「何を……?」
技ーサー「とんだ茶番さ。『剣術の城』はランスロットと戦うふりをしながら円卓を操作する。仮死状態になったランスロットを私達に見せて騙すために」
ガウェイン「使えそうな技術がある事、『剣術の城』に渡っている事は、グィネヴィアの周りに張らせていた密偵から報告を受けている。残念だ」
技ーサー「『剣術の城』が責任を放棄するなら構わない」
技ーサー「だったら私がやる。『魔法の派』、アンタも覚悟しな。これが終わったらブリテンを裏切った『剣術の城』との戦争は避けられなくなる」

エル(通信)「90%、100%、暗号の乱数表の解読完了! フェイ達との通信は……何だこれ?」
エル(通信)「『剣術の城』は確かに円卓を使ってランスロットを仮死状態にしようとしているらしいのだぞ」
エル(通信)「ただし、そもそもランスロットは『円卓の整備技術情報』は持っていないらしい!」
エル(通信)「真意はグィネヴィアを巡る三つ巴の争いが起こるのを避けるため、独立機関を作る時間を稼ごうとしているだけのよーだ!!」
魔ーサー「『剣術の城』に、それほどの害意はなかった……?」
ガラハッド「まずい、『技巧の場』を止めないと!」

技ーサー「チッ、格好のチャンスを逃してるって自覚はあるかな『魔法の派』!?」
魔ーサー「ここで不協和音を見せつけてどうするんですか!? 『外敵』の戦意を煽るだけです!」
エル(通信)「のわーっ!!」
エル(通信)「大変だ大変だ、何だか今回ばっかりはホントにヤバそうなのだぞー!!」
技ーサー「……珍しい相手から通信だな」
ガウェイン「毎回これで『魔法の派』は疲れないのかよ?」
エル(通信)「世間話している場合ではない!」
エル(通信)「キャメロット宮殿内の隔壁が力技で次々と破壊されている! クーデターだ。誰かが宮殿を制圧するために直接攻撃を仕掛けているのだぞ!」

エル「キャメロットの制圧は止められない! ここもじきにやられるのだぞ!」
エル「クーデターの首謀者はおそらくモードレッド。3勢力が『外敵』の大陸へ向かった隙を突かれた!」
エル「キャメロットやブリテンの主要施設はすぐに落ちる。ランスロットに構っている暇はない。至急反抗作戦の準備を進めるのだぞ!」

一過性の終わり

グィネヴィア「エル達は、最低限の機材を持ってキャメロットから逃走しましたか」
グィネヴィア「……それにしても、正気ですの?」
グィネヴィア「奇襲によってキャメロット宮殿の機能を一時的に奪えたとして、それが永遠に続くとは思えません」
グィネヴィア「あなたは自分から行き止まりに突っ走ったようなものですのよ!?」
モードレッド「不利な条件ぐらいは分かっているさ」
モードレッド「敵は100万人のアーサーにエクスカリバー。円卓や『湖』の力を借りた騎士団も多数備えられている」
グィネヴィア「それならどうして……!」
モードレッド「勝算ならあるのだよ」
モードレッド「忘れたのか? 私は魔女モルゴースの手によって作られた、あらゆる王を殺害する騎士だぞ」
グィネヴィア「全てのアーサーの弱点を検索し、最適の1撃を繰り出す特性……」
グィネヴィア「ですがブリテンの戦力は王だけではないはず。円卓に集う騎士団と真っ向から激突すれば!」
モードレッド「そうだ」
モードレッド「だからこそ、あなたの協力が欲しい。……私にも、同じように『湖』の騎士達が扱えるように」
グィネヴィア「っ!?」
モードレッド「不可能な話ではないはずだ。私は100万人のアーサーの因子を、魔女モルゴースの因子で束ねた身」
モードレッド「魔女の因子を使えば『湖』を起動して騎士を製造できるし、アーサーの因子を使えば円卓の起動もできるはずなのだ」
モードレッド「……もっとも、アーサーの因子を表に引きずり出すために、円卓に登録されている私の情報を大きく書き換える必要はあるし」
モードレッド「エクスカリバーを持たない私が騎士を束ねるために、円卓模型の方にも相応の改造を施す必要があるがな」
グィネヴィア「……自殺行為ですわ」
グィネヴィア「『湖』の騎士は、はありのままの状態こそ最も安定したパラメータです。それを無理にいじってアーサーの因子を表に出せば、どうなるか」
グィネヴィア「あなたという存在が瓦解する可能性が高い。その上、元々あなたは『アーサーを殺す』ために調整された騎士なのだから余計に……!」
モードレッド「アーサーを殺す因子と、アーサーの因子が体内で喰らい合う訳か」
モードレッド「……だが、得られる時間が少なくとも、その間に目的を達せられるのであれば構わない」
モードレッド「協力してもらうぞ、グィネヴィア。私の望む形で円卓を再整備するために」
グィネヴィア「……私が協力すると思う材料は何ですの?」
モードレッド「私がキャメロットを制圧していられる時間は限られている。リミットが来れば、私は協力の有無に拘わらず円卓に触れるぞ」
グィネヴィア「円卓の表面に触れて『使う』ならともかく、繊細な内部構造を『整備』できるのは私だけですわ」
モードレッド「私の体には、魔女の因子も収まっていると言わなかったか? 内部構造に触れるだけならできるのさ」
モードレッド「もっとも、触れるだけで繊細な調整など夢のまた夢だがね。私1人でやれば円卓全体のシステムが止まるかもしれないな」
グィネヴィア「……なるほど。それが脅し文句ですのね」
モードレッド「『湖』の戦力が使い物にならなくなれば、『外敵』が盛り返すかもしれない」
モードレッド「それが嫌なら、私に協力してもらおうか」
グィネヴィア「……そこまでして、あなたは一体何を望んでいますの?」
モードレッド「目的は1つ。……審判役の全うのみ」

堅牢を手に入れた敵

フェイ「キャメロットの制圧を進めるモードレッド勢力を止めるため、ブリテンへの再上陸を実行します」
リーフェ「本作戦は、『剣術の城』『技巧の場』『魔法の派』全勢力の混成で行うわ」
エル「とはいえ、作戦自体はシンプルなのだぞ。船で海を渡って海岸線へ上陸する。それだけの強行突破だ」
フェイ「当然ながら、モードレッド勢力はアーサー様達の再上陸を全力で阻止しようとするでしょう」
リーフェ「再上陸作戦はあくまでも反抗作戦の取っ掛かりに過ぎないわ。ここで戦力を消耗するようでは先がないと考えるべきね」
エル「一刻も早く反乱を沈静化させるためにも、被害は最小に食い止めてくれ」

剣サー「はぁ、はぁ! ようやくブリテンか!!」
技ーサー「ハッ! まさか、成長したブリテンの戦力をこんな形で実感させられるとはね!!」
魔ーサー「元々『外敵』対策で、ブリテンは海からの侵攻へ極端に強くなるよう、成長の方向性が偏っています。それをまともに喰らったんでしょう」
フェイ(通信)「来ます、前方! モードレッド勢力です!!」

ランスロット「こいつら……『湖』の騎士か!?」
ガウェイン「エクスカリバーも円卓も王の所有物だろう!? 誰が操っているって言うのかよ!?」
ガラハッド「でも現に『湖』の騎士が向かってきてるわ。モードレッドが『断絶の時代』に関わる裏技をやったって考えるべきね!!」
エル(通信)「騎士達の増援だぞ!」
リーフェ(通信)「ここさえ突破できれば海岸防衛線の本営に突入できる! さっさとケリをつけて!!」

魔ーサー「やっと、切り抜けられたん、ですか!?」
フェイ(通信)「っ!?」
フェイ(通信)「きっ、緊急です!! 内陸の山より反応あり! 1等級の『ドラゴン』です!!」
技ーサー「『外敵』……? いや、でも外海からならともかく、内陸からって!?」
リーフェ(通信)「違うわ。これはブリテン産の小型『ドラゴン』を無理矢理巨大に成育させたものよ!!」
魔ーサー「……つまり、ブリテンの戦力……。モードレッドさんが『外敵』のデータを集め、国内で生産したものとでも言うんですか!?」
エル(通信)「1等級『ドラゴン』のエネルギーが増幅! 大きい! 内部構造が自壊するのを覚悟で撃ってくるみたいなのだぞ!!」
ガウェイン「どけ……」
技ーサー「ガウェイン?」
ガウェイン「先のモードレッド戦を考えれば、ここで消耗を大きくする訳に行くかよ!!」
ガウェイン「ランスロットはムカつく野郎だが、戦力としての強さだけなら確かだしよ!!」
ガウェイン「私が食い止める。王は後ろに下がっていろ!」
技ーサー「ガウェイイイイイイイイイイイン!!」

フェイ「ブリテンへの再上陸は成功しました」
エル「ガウェインが1等級『ドラゴン』の攻撃を引き受けたおかげで、主立った被害はなかったのだぞ」
フェイ「……ガウェイン様は元々防御に優れた騎士でしたが、1等級が自壊覚悟で行った攻撃は、さすがに堪えたようです」
フェイ「……消滅こそ免れましたが、内部構造の破損は否めません。『湖』の力があれば修復は可能ですがキャメロット自体がモードレッド勢力に……」
リーフェ「自然治癒には限度がある。多少の作戦には参加させられるようになるかもしれないけど、モードレッド級との一騎打ちなんて無謀だわ」
技ーサー「……『剣術の城』」
技ーサー「率直に言ってアンタ達のことは今でも気に食わない。『円卓の整備技術情報』の件で釣り上げた事も含めてね」
剣サー「……」
技ーサー「……だが、そんなアンタ達をガウェインは庇った」
技ーサー「私はガウェインの覚悟を尊重する。ここから先は全力だ。つまらない政争で戦いに手を抜くような真似はしない」
エル「……私達はどーするのかね」
魔ーサー「単純に、1等級の『ドラゴン』から身を守っていただいた借りがあります」
魔ーサー「その借りを棚に上げて、自己の利益に突っ走るのは後味が悪すぎます」
剣サー「……では向かうか」
魔ーサー「モードレッドの待つ、キャメロットへ!!」

もう1つの反撃

グィネヴィア「……円卓の改造によるモードレッドの強化は、遠からず彼を破滅に追い込むはず」
グィネヴィア「見えない。モードレッドの目的が。そこまでして力を求める理由はどこにありますの?」
グィネヴィア「?」
ニムエ「……ジ、ジジ……ジジジ……」
グィネヴィア「ニムエ? ニムエですの?」
ニムエ「ジジ、グィネヴィア、大丈夫……?」
グィネヴィア「体の方は問題ありませんわ。それよりニムエ、ここから出るのを手伝ってくれません?」
ニムエ「難しいと思う、ジジ」
ニムエ「モードレッドは、ジジ、魔女の因子を使って、キャメロットのネットワークの直接支配に乗り出した。ジ、私が管理できる場所は少ない」
グィネヴィア「……そうですの」
ニムエ「でも、モードレッドに気づかれないように、ジジジ、、調べ物をするぐらいならできる」
ニムエ「ジジジ、モードレッド、様子がおかしい。ジ、反乱もそうだけど、その反乱と彼の目的や利益が直結していないように思える」
グィネヴィア「確かに」
グィネヴィア「……円卓全体のシステムを止めると言ってモードレッドは私を脅しましたが、王から戦力を削ぐだけなら、それでも構わないんですのよね」
グィネヴィア「にも拘わらず、自分が攻め込まれるのを承知で、アーサー達の戦力を残した」
ニムエ「何かある」
ニムエ「ジジ、一見自分を不利にしている何かが、モードレッドの目的に繋がっている」
グィネヴィア「彼の真の目的が分かれば、そこから反撃の糸口が見つかるかもしれませんわ」
ニムエ「キャメロットのネットワークのほとんどはモードレッドに支配されつつある。ジジジ」
ニムエ「でも、ジジ、システムの隙間を縫ってこっそり侵入するぐらいなら。それでモードレッドの隠したがっているモノに触れられるかも知れない」

真意

剣サー「ここを越えればキャメロットに届くか」
技ーサー「まさかエクスカリバーを持った王様が、山賊みたいな真似するとはね」
魔ーサー「……でも正直、玉座でふんぞり返るってのも想像できませんよ」
技ーサー「ははっ、言えてる」
エル「モードレッド勢力から通信が来ているのだぞ。和平のための申し出らしい」
ランスロット「……このタイミングでか? 双方ともに大きな損害のない、つまり『希望』のある状態だというのに」
フェイ「別口からキャメロットのネットワークに侵入したところによりますと、和平の申し出と同時期に毒蛇作戦と言うものが設定されています」
リーフェ「おそらくは罠。武装解除してのこのこ出てきたところへ最大戦力をぶつけるつもりよ」
ガラハッド「解せないわね……」
剣サー「ああ。罠として分かりやすすぎる。妖精の傍受がなくとも警戒はしたはずだ」
技ーサー「……モードレッドの野郎の狙いは、奇襲の他にさらにある?」
エル「む? キャメロットから通信が入っているのだぞ!」
魔ーサー「モードレッドさんからですか?」
リーフェ「いいえ。送信元に正規の番号が割り振られていない。おそらくこれは、モードレッドに隠れて行われているものよ」
グィネヴィア(通信)「ザ、ザザ……アーサー、通じていますの……。こちらはグィネヴィアです。ニムエに協力してもらって、このデータを送っています……」
フェイ「グィネヴィア様です! ニムエの認証コードも確認。どうやら間違いはなさそうです!」
エル「ノイズを取り除くのだぞ」
グィネヴィア(通信)「こちらは身動きが取れませんが、キャメロット内でモードレッドの行動について調べています」
グィネヴィア(通信)「現時点で分かっているのは」
グィネヴィア(通信)「モードレッドが最終的に倒そうとしている敵はアーサー達ではありません。魔女モーガン。より正確には、彼女が操るアヴァロンです」
剣サー「……あれは都市国家群のアンテナを破壊することで、干渉不可能にしたはずだぞ!?」
グィネヴィア(通信)「マイクロウェーブを使った遠隔操作ではなく、アヴァロンに直接接続する方法を考えたようですが、詳しい事は不明」
グィネヴィア(通信)「おそらくはあの魔女だけが理解できる方法で、アヴァロンの完全浮上を目指しているようです」
剣サー「内乱でキャメロットの動きが止まっている間にモーガンは着々と準備を進めていた」
魔ーサー「その動きを掴んだモードレッドさんは、僕達に見切りをつけて、自分の力だけでアヴァロンに対抗しようとした」
グィネヴィア(通信)「円卓の内部破壊によって騎士の力を奪う事もできたはずなのに、それをしなかったのもアヴァロンと戦うためでしょう」
技ーサー「……でもモードレッドがどうやって私達を退けようとする? 和平交渉に偽装した毒蛇作戦だけって言うならお粗末すぎる」
グィネヴィア(通信)「毒蛇作戦は単なる時間稼ぎですわ」
グィネヴィア(通信)「その間にモードレッドは、魔剣クラレントを完成させる。彼の最大の武具。あらゆるアーサーを一撃で殺害する裏切りの剣」
グィネヴィア(通信)「ですが、1対1ならともかく、軍勢としてのアーサーをまとめて殺害しようとすれば、かなりの負荷が加わるはず」
グィネヴィア(通信)「円卓の無理な使用、魔女としての力の行使、そしてクラレントの爆発的進化。……モードレッドの身が保つとは到底思えませんわ」
剣サー「……そこまでして全うするか、モードレッド」
剣サー「王国の審判役を」

毒蛇を喰らう竜王

フェイ「モードレッド様を追うため、彼の仕掛ける毒蛇作戦を叩き潰します」
リーフェ「毒蛇作戦は、和平会場である平原を取り囲むように、自壊型の『ドラゴン』を配備した構成になっているわ」
エル「本来なら、のこのこやってきた私達を遠距離、複数の方向から砲撃する事で、白兵戦力の差を無視して殲滅するつもりだったのだろう」
フェイ「私達は待ち伏せしている『ドラゴン』へ逆にこっそりと近づき、各個撃破していきます」
リーフェ「『剣術の城』、『技巧の場』、『魔法の派』。各々が3箇所に潜む『ドラゴン』へ同時に攻撃を仕掛けるわ」
エル「毒蛇作戦はあくまでもモードレッドの時間稼ぎだ。ここを速やかに通らなければ、魔剣クラレントの進化を完成させてしまうのだぞ!」

ガラハッド「……くそ、あっちもこっちも草とか泥とか。アーサー、アンタ王様になったらとりあえずブリテン中にシャワールームを作りなさい」
アーサー「僕は自分の代わりに働いてくれる人をたくさん雇いたいです……」
エル(通信)「魔剣クラレントの完成が近づいているというのに気楽だな」
エル(通信)「王国を破壊する剣を持つ事は、あいつの信条からかけ離れているはず。なのにモードレッドはそれを掴むと決意した」
エル(通信)「目的のために自らの主義を折る。そこまでやるモードレッドをねじ伏せるのは、並大抵の事ではないのだぞ」
アーサー「王国の審判役。そこまで身を削るほどなら、放棄してもらっても良かったのに……」
ガラハッド「嬉しかったんでしょ。裏切りの騎士以外の何かを与えてもらった事が。だから殉じる覚悟も決められた」
エル(通信)「自壊型の『ドラゴン』の設置場所はすぐそこなのだぞ。気合を入れろ」
アーサー「『剣術の城』や『技巧の場』は?」
エル(通信)「両勢力とも若干の遅れがあるよーだ」
ガラハッド「まずい……。同時攻撃なんて悠長に構えていられなさそうよ」
アーサー「ガラハッドさん?」
ガラハッド「鼻の良いヤツが私達の接近に勘付き始めた! このまま待ったら防備を固められるわよ!」
アーサー「あーもー!!」
エル(通信)「仕方がない、各自の判断で攻撃開始! モードレッドの前に消耗しては始まらない。速やかに自壊型の『ドラゴン』と防衛部隊を排除しろ!」

アーサー「ガタガタですよ! 計画は全部ガタガタ!! ほら見てここ怪我していますって!」
ガラハッド「そのかすり傷が負傷扱いなら子供を外で遊ばせることもできないっての!」
エル(通信)「自壊型の『ドラゴン』が動いたのだぞ! たぶん周辺の血の匂いに興奮したんだ!!」
アーサー「……今度こそ泣いて良いですよね?」
ガラハッド「辺りの惨状見てからモノ言えコラ」

エル(通信)「自壊型の『ドラゴン』を撃破したのだぞ!」
アーサー「あいつやっぱり僕の事狙い撃ちしてましたよね!?」
ガラハッド「おい、やればできる子。勝った後に泣き言は格好悪いんじゃない?」
エル(通信)「それでもなんだかんだで生き残る辺りは、モードレッドが夢見た王国を束ねる者として相応しいかもしれないのだぞ」

エル「時間稼ぎを目的とした毒蛇作戦の阻止に成功したのだぞ」
エル「ただし私たちが先に攻撃を行ったせいで、『剣術の城』と『技巧の場』との連携は崩れている」
技ーサー(通信)「アンタらが突出したんならそれでも良い。さっさと行ってモードレッド片づけてこい!」
剣サー「魔剣クラレントが完成してしまえばどうしようもない! 一刻も早く止めてくれ!!」
エル「モードレッドさえ倒せれば、全ての争いを止められるのだぞ」
エル「『剣術の城』や『技巧の場』を支援する意味でも、大至急ケリをつけろ!」

審判の法と魔法の理

エル「丘陵キャムランでモードレッドを発見したのだぞ」
エル「あの丘は軍事的な要所という訳ではない。おそらく魔剣クラレント精製の儀式に必要な立地を確保したのだろう」
エル「魔剣クラレントが完成すれば、アーサー含むあらゆる王は一撃で両断される。戦況はほぼ絶望的になるのだぞ」
ガラハッド「でも逆に言えば、完成前の今ならモードレッドに勝てる見込みはある」
ガラハッド「おそらくモードレッドは、審判役を与えてくれたアンタを今でも憧れているわ。期待に応えてやりなさい」
エル「細かい作戦はない。丘陵キャムランに向かい、モードレッドをねじ伏せろ!」

モードレッド「来たか」
モードレッド「いいや、分かっていたさ。この戦い、最後に立ちはだかるのは真の王でなければならないとな」
アーサー「……何が最後なんですか」
アーサー「最初から王になるつもりもなかったくせに。ただブリテンを、アヴァロンの脅威から守りたかっただけだったくせに!」
モードレッド「ここで明確に終わるさ」
モードレッド「私はブリテンの敵で良い。恐怖と憎悪の対象で構わない。多分、ここで王を斬る事で、私はそういう存在に塗り潰される」
アーサー「……間違っています」
モードレッド「間違っているのかね」
アーサー「僕達の目指したブリテンは、そんな犠牲を強いるものじゃなかった! あなたの審判役だってそこから始まった!」
アーサー「裏切りの騎士として一方的に処分を言い渡されるのが許せなかったから、審判役としてのあなたが生まれたんです! それなら!!」
モードレッド「それでも」
エル(通信)「っ!! モードレッドの体内から凄まじいエネルギーが……。ま、魔剣クラレントが部分的に起動するぞ!!」
モードレッド「それでも、この国を守れるのなら、私は戻る」
モードレッド「裏切りの騎士だろうがクラレントだろうが、私はこの国を守るために必要なあらゆる力を手に入れてみせるさ!!」
アーサー「モードレッドさん!!」
ガラハッド「構えろアーサー! 説得できる相手じゃないのは分かっていたはずよ!」

アーサー「が、は……!?」
エル(通信)「部分的とはいえ、魔剣クラレントがアーサーの弱点を自動検索しているのだぞ! このままでは……!!」
モードレッド「こんなものか」
モードレッド「ここで終わるというのなら、私は王を踏み越えてブリテンを守らせてもらうぞ」
ニムエ(通信)「……ジ、ジジ……」
モードレッド「?」
ニムエ(通信)「……たす、けて……」
モードレッド「アーサーの通信魔法、か。相手はニムエか」
ニムエ(通信)「たすけ、て」
ニムエ(通信)「たすけて。だれか」
モードレッド「……助けるとも」
モードレッド「私はこの国の皆を助けるとも。そのためならばどんな罪にまみれても良い。魔剣クラレントに呑み込まれても良い」
モードレッド「それで王国を救えるのなら、私は迷わず救うとも」
ニムエ(通信)「お願いだから、誰かモードレッドを助けて!」
モードレッド「な、に?」
アーサー「げ、っふ……。ま、だ、分からないんですか?」
アーサー「あなたはあなたが思っているより多くの人から慕われていた」
アーサー「ニムエにしても、あなたの反乱に協力してくれた兵にしても!」
アーサー「本当にこの国の皆を救いたいのなら、ニムエが泣くのは良いんですか!? そうやって痛みを押し付ける方法があなたの救いなんですか!?」
アーサー「そんなはずがありません。そんな簡単に妥協できるなら、最初から反乱なんてしていないはずです!」
モードレッド「……そうか」
モードレッド「だが、その程度の言葉で私は止まらん!!」
エル(通信)「モードレッドの反応がさらに……。このままでは内側から崩壊が進んでしまうのだぞ!」
モードレッド「確かに、一時は涙を流す者はいるかもしれない」
モードレッド「だがその後に100年の笑みが続くとすれば、やはりこの命を懸ける事にためらいはない!!」
アーサー「だったら後は剣をぶつけ合うだけです」
モードレッド「私は!」
アーサー「僕は!」
アーサー・モードレッド「この国の皆を救ってみせる!!」

モードレッド「おおおおおおおおおおおおおおお!!」
エル(通信)「モードレッドの反応が危険域に入ったのだぞ! 早く魔剣クラレントから切り離さないと!!」
ニムエ(通信)「……ザザザ……アーサー、お願い、モードレッドを……ジジ……助けてあげて!!」
アーサー「……当たり前じゃないですか」
ガラハッド「アーサー! あの審判役が憧れた王国ってのがどんなものかを見せてやりなさい!!」
アーサー「誰が何と言おうが、あなたもブリテンの一員です! だったら僕は、必ずあなたも助けてみせます!!」

エル(通信)「魔剣クラレントの破壊と分離を確認! モードレッドも無事なのだぞ!!」
モードレッド「がは……」
モードレッド「馬鹿な……。こうしている今も、アヴァロンの脅威はブリテンに迫っているのだぞ!」
モードレッド「一時の感情で私を助けるのは容易い。だがその後に迫る脅威に、クラレントなしでどう立ち向かう気なのだ!?」
ガラハッド「やれやれ」
ガラハッド「モードレッドは基本的な事が分かっていないようね。アーサー、ブリテンを守護する剣の名前を教えてやったら?」
アーサー「アヴァロンを討つための剣の名は、クラレントではありません」
アーサー「その名はエクスカリバー。そして、剣の切れ味は円卓に集う騎士たちが支えてくれます」
アーサー「当然、そこにはあなたの名前もあると思っていましたが?」

エル「魔剣クラレントの破壊と、モードレッドの投降によってクーデターは終結したのだぞ」
エル「キャメロットやブリテンの主要施設も順次解放されていっている」
ガラハッド「グィネヴィアやニムエの拘束も解かれたようだし、やっと一段落ってところかしら」
エル「残る問題は、魔女とアヴァロン」
エル「モードレッドにあれだけ啖呵を切ったんだ。完璧に終わらせるのだぞ」

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